2014年01月29日

29)カウルの割れを修理

今回はカウルの割れを修理します。
正直、こういうのって修理は不可能に近いと思っていました。接着剤とかはやたら時間がかかる割に強度不足だし。だからもう割れているものは割れてるまんまにしとこうかと思ってたくらいなんですが、別冊オールドタイマー別冊オールドタイマーという本に樹脂パーツを「溶接」して直すという非常に興味深い方法が紹介されていました。

この方法なら安く、早く、十分な強度でカウルの割れを修理できる!、らしい。
とにかくやってみることにしました。

用意するのはハンダゴテ(もともと持っていた)とハンダゴテのパワーを調整するコントローラー(アマゾンで買った)これだけ。
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早速修理、といきたいところですが、まず小手先を作ります。樹脂溶接ではコテ先がナイフ状になっていたほうがやりやすいからです。
最初は近所のホームセンターに探しに行ったんですが、そんな形状のコテ先は売っていない(昔は売っていたような気がするけど、気のせいか?)。そこでガレージに転がっていたアルミの丸棒をハンマーで叩いてヤスリで削って作りました。
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用意するものはもうひとつあります。溶接でいうところの溶接棒に当たるものです。これは溶接する樹脂と同じ材質のものを棒状というか短冊状にすればいいとのこと。割れがひどいので交換することにしたフロントフェンダーを切断しました。写真は切断したところですが、実際はこの後塗装を剥がしてから使ってます。
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さて、
問題の割れですが、例えばこんな感じ。もちろんこの1箇所だけではなくてあっちこっち割れだらけです。

ちなみにこれはフロントカウルですが、サンドブラスターで塗装を落としたら樹脂そのものの色が赤でした。
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いよいよ作業に入ります。
まず割れ目にそってコテを当てていき、割れ目に隙間を作ります。溶接でいうところの「開先」を作るわけです。金属の溶接だと買い先を作るのも結構手間だと思いますが、樹脂溶接では簡単です。
ちなみに、この写真の開先は全然浅すぎます。ホントはもっと向こう側まで突き抜けるくらい溝を掘ったほうがいいです。
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続いて、ハンダゴテでカウルの樹脂を溶かして開先を埋めていきます。この時樹脂が足りなくなるので、あらかじめ作っておいた溶接棒を溶かして補います。溶接というよりハンダ付けに近い感覚かもしれません。
写真はもう作業が終わったところですが、フロントカウルが赤いのに対して、溶接棒に使った樹脂が黒いので、どのように溶接したかよく分かる仕上がりになりました。もちろん、裏も同じように作業します。
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木工用のヤスリみたいな工具で表面を整えたらこんなかんじになりました。あとはパテ埋めして塗装すれば十分いけそうです。
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と、思ったのもつかの間。ちょっと力をかけたら溶接したところが簡単に割れてしまいました。溶かし方が足りなかったのか?溶接棒に使った樹脂の材質が違うのか? でもどっちもABSって書いてあるし……。
何度かやり直してみましたが、どうしても強度が出ません。オールドタイマーに書いてあったのと違うなあ。
何が悪いかわかりませんが考えているより力技で解決することにしました。いらないフロントフェンダーを長方形に切って、全体をストーブで溶ける寸前くらいまで温めます。
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この板をカウルの割れ目の裏に貼り付け、補強材としました。板の周囲をダーッと溶接し、表からもう一度開先を掘りますが、この時に裏の補強板まで突き抜けるくらい深く掘ります。そうして溶接したら十分すぎるほどの強度が出ました。
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1箇所成功したので、他の割れも同じように直していきます。
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裏に補強板を当て、表からこれでもかと溶かして溶接したら、ちょっと溶けすぎてこんなになってしまいました。
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しかし、ヤスリで削ったらこんな感じに。割れ目は跡形も無いし、あとはパテで仕上げれば良さそうです。
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調子が出てきたのでドンドン行きます。バックミラーを取り付けるところ。こんな感じに割れています。
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裏からこのように補強板を当てて溶接しました。
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表から見るとこんな感じ。
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欠けている部分はフロントフェンダーを同じ形に切り出してあてがい、溶接。
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ペーパーで表面を仕上げ、穴を開け直してこのように仕上がりました。強度バッチリです。
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反対側はもうブラブラってくらい割れていたのですが、同じようにしてこんなふうに直しました。溶接の腕が上がってきているのがわかります。 photo


他にも割れがたくさんあったんですが、同じように直してパテ埋めして、あとは塗装を待つばかりとなりました。
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この「樹脂溶接」という技はかなり使えます。ただ、別冊オールドタイマーではもっとスマートに直していたんですがそうならなかったのが未だに謎。裏から補強板を当てずに十分な強度を出せるとは思えません。まあ、やり方が下手なだけかもしれません。

そういえば、コントローラーを使っている写真がひとつもないですが、これはコテ先の温度が上がりすぎないように調整します。激しく煙が出るくらいに温度が上がってしまうと、うまくくっつかないし、樹脂が泡立つので後でヤスリを掛けた時に気泡が出てきてそれをパテ埋めする手間が生じます。それと、温度を上げすぎて固まった樹脂は表面がテッカテカに光っていて、その部分にはパテが食いつきません。ついたように見えても剥がれてきます。なので温度は上げ過ぎないようにしないといけません。

ここで使用したハンダゴテは100Wです。コントローラーは、待機中は50%、溶接中は80〜90%の位置にして使ってました。

なお、この樹脂溶接、言うまでもないですがすごく臭いです。熱中して長時間やっていると、頭痛と吐き気をもよおすほどになります。換気するとかマスクを使うといった対策が必要です。

posted by まーさん at 21:52 | Comment(1) | レストア NS-1
この記事へのコメント
はじめまして、
PPなら半田ごてでいけますが
ABSはもろくなりますのでプラリペアが
間違いないです
Posted by Atsuyan at 2023年08月24日 09:56
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