2013年06月26日

グリスの話

バイクのレストアやメンテナンスをしていれば、たくさんのグリスを使います。
グリスは種類が多くてなにを買い揃えたらいいか悩むものですが、グリスについてちゃんと説明した雑誌とかWebサイトをあまり見たことがない。
そこで、まーさんの知る範囲での期おほん的な知識を整理しておきます。素人なので間違っていたらあしからず。

グリスとは
石鹸とオイルを混ぜてこねたもの、それがグリスです。
例えばある部分を潤滑したいが、オイルを塗っておいてもすぐに流れてしまうとする。だったらオイルが流れないようにオイルを綿(わた)に染みこませて、その綿を潤滑したい部分にくくりつけておけばいい。
グリスとはそういう発想のもので、綿にあたるのが石鹸。オイルを吸い込み、流れないようにします。意外ですが、グリスであっても潤滑を行うのはあくまで液状のオイルです(例外ある)。
それと石鹸というのは広い意味では台所にある普通の石鹸も含まれるが、グリスに使われるのは金属石鹸と呼ばれるもので手を洗う石鹸とはちょっと違うようです。

ところで、グリスの効果は
@潤滑
A防錆
Bシール効果
Cそのほか(異音解消とか焼き付き、かじり防止とか)
となっています。
それと、先ほどの説明で出てきた石鹸を「増ちょう剤」、オイルを「基油」といいます。基本的に増ちょう剤と基油を混ぜたものがグリス。ただし、実際にはいろいろな添加剤が入っているものです。

グリスのネーミング
グリスは種類が非常多いのですが、そのネーミングに統一性がないために非常に分かりにくいです。例えばリチウムグリスは増ちょう剤としてリチウム石鹸を使ったグリスで、増ちょう剤が名前の由来。一方、モリブデングリスはモリブデンを添加したグリスのことで、添加剤が名前の由来。さらにラバーグリスなど、用途が名前になっているものもあります。

掲示板などを見ていると、リチウムグリスとモリブデングリスはどう違うのか、といった議論を見かけたりすることがありますが、基本的な知識がないままそういう議論をすると訳の分からないことになってしまいます。

代表的なグリス
@増ちょう剤が名前になっているグリス
リチウムグリス
別名:万能グリス、マルチパーパスグリス、ベアリンググリス
古くからあるグリスなので名前もいろいろ。開発された当時は画期的な性能だったために「万能グリス」と呼ばれたようですが、今となっては万能とは言えず、むしろ一番安物のグリスです。

ウレアグリス
増ちょう剤にウレアを使ったグリス。ほとんどあらゆる面でリチウムグリスより性能が上。ウレアがなんなのかよくわからないんですが、耐水性、耐熱性などがリチウムグリスより優れているそうです。それと、ウレアグリスは基油にもいいものが使われていて、ゴムや樹脂を侵しません。ホームセンターなどで汎用グリスとして売られていますが、どうも粘性が高すぎてバイクや自動車用にはあまり向いていないような製品が多いみたいです。

シャーシグリス
カルシウム石鹸を増ちょう剤に使ったグリスで性能は低く、最近ではほとんど使わないと思います。


A基油が名前になっているグリス
シリコングリス
耐熱性、耐水性に優れ、ゴムや樹脂を侵さないなどいいことづくめ。透明で目立たないのでバイクのレバー部分など見栄えが気になる部分に使うにも便利。ただし、金属同士の潤滑性能はあまり高くないので、リチウムグリスの代わりなどには使えません。増ちょう剤にはウレアが使われることが多いようですがよく知りません。
ちなみに、パソコンのヒートシンクなどに塗るシリコングリスは自動車用のシリコングリスとはまったく別物です。

B添加剤が名前になっているグリス
モリブデングリス
リチウムグリスやウレアグリスにモリブデンという粉末を混ぜたグリス。モリブデン自体に潤滑性があり、しかも個体なので熱に強く、油膜切れにも強い。基油が油膜切れを起こしたり高熱で蒸発して無くなった場合でもモリブデンが残って仕事をしてくれます。よって、過酷な環境でよく使われます。
モリブデングリスはゴムを侵すのかという質問を見かけたことがありますが、ゴムへの攻撃性や耐水性などはベースのグリスに依存します。要するに、ゴムを侵すモリブデングリスも、犯さないモリブデングリスもあります。

C用途が名前になっているグリス
ラバーグリス、ディスクブレーキ用グリスなど
用途が名前なので、その正体はいろいろです。例えばパッドの裏に塗るディスクブレーキ用グリスにはカッパー(銅の粉)を混ぜたグリスもあれば単なるシリコングリスだったりする場合もあるようです。

Dその他のグリス
スプレーグリス
普通のグリスを溶剤で溶いて缶スプレーに詰めたもの。缶の中では溶剤により液体に近い状態のため、スプレーとして吹き出すことができる。吹き出したあとは溶剤が瞬時に揮発して無くなり、粘性の高いグリスになるという仕掛け。とはいってもやはり普通のグリスより柔らかいです。 スプレーグリスもベースのグリスがリチウムグリスのもの、ウレアグリスのもの、基油が鉱物油のもの、化学合成油のものなどいろいろあり、性能も千差万別です。

ちなみに、まーさんはリチウムグリスとシリコングリスの2種類をよく使います。リチウムグリスは小さなグリスガンに詰めて使いやすくしています。シリコングリスは用途が広いので便利です。

リチウムグリスはアクスルシャフトに塗って固着防止とか、あるいはサイドスタンドみたいなどうでもいいような場所に使います。シリコングリスはブレーキ、クラッチレバーとか、あとOリングやシール類の挿入時に塗ったり。そうそう、サイドカバーとかで、ゴムのブッシュに出っ張りをはめ込む固定方法のパーツ、異常にきつくて出っ張りが折れちゃったりすることもありますが、シリコングリスをちょっと付けておくと脱着がすごくやりやすくなります。

タグ:グリス
posted by まーさん at 01:34 | Comment(2) | ガレージ用品、工具
この記事へのコメント
はじめまして、私もカブをいじってまして まーさんのブログ大変参考になります。
これからも期待しています。
Posted by けんこ at 2014年01月22日 22:34
ありがとうございます。仕事が忙しく思うように更新できないのですが、これからも頑張って続けていきます。
Posted by まーさん at 2014年01月22日 23:40
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